たい焼きとポンジュース

お笑いと芸術をテーマに、日々興味のあることを書き綴りたいと思います。

ボーダーライン

 

A.ワインハウスとボーダーライン

エイミーワインハウスという英国の女性歌手がいたことを覚えていますか。2007年頃「Rehab」という曲が世界的にヒットし、この曲で同年のグラミー賞を受賞しました。その後も精力的に楽曲製作に取り組むも、2011年に27歳の若さで亡くなりました。

 

今月の23日でエイミーが去ってからちょうど5年になります。歌手・作曲家としての類い稀な才能から彼女は今でも様々なアーティストから支持を得ています。しかしその一方で、アルコールと薬物依存や、婚約者とのトラブルなど、セレブリティらしい激しい私生活がゴシップとして取り上げられることも多々ありました(亡くなった直後もアルコールの過剰摂取が死因ではないかと言われていました)。

 

そんな波乱万丈の人生を送ったエイミーですが、実は境界性人格障害(通称:ボーダーライン)という病気を患っていたと言われています。症状としては、感情の不安定さやそれに伴う対人関係の不和、様々な依存行為や自傷行為などがあげられます(参照『自分でできる境界性パーソナリティの治療』、『絆の病』など)。一般に女性に多いとされる病気で、周囲からは「メンヘラ女」「構ってチャン」などと思われがちな言動が特徴的かもしれません。主に対人関係の中で症状が発症、悪化することが多く、当事者はもちろん周囲の人間が病気であることそれ自体に気づきにくいというのもこの病気の特徴ではないかと思います。

 

先に申しあげておきますと、私自身もこの境界性人格障害の気質を持ち合わせております。そして今回は、エイミーワインハウスの追悼を兼ねてこの病気に苦しむ女性と彼女たちとの関わり方について私なりに考えてみたいと思います。

 

最近、境界性人格障害(以下ボーダーライン)についての本やブログを読んでいる中で、ボーダーライン傾向のある女性とお付き合いをした男性たちによる書き込みサイトのようなものを目にしました。そこでは私たちは「ボダ女」とか「メンヘラ女」という表現をされていて、私は“まあ、そう言われてもしかたないよな…”と思いつつも、やっぱりどこかむなしさというか、そういう破滅的な恋愛関係を起こしてしまう私たちボーダーラインの当事者と、そこに巻き込まれてしまって、女性に対する恐怖心だったり、嫌悪感を抱いてしまう男性がいることに、やるせなさを感じてしまいました。

 

エイミーを例に挙げると、ボーダーラインの気質がある女性の特徴は案外外見に現れることが多いように思います。しかしそれはいわゆる“病人”という感じのものではなくて、“ちょっと変わった人”、とか“個性的なひと”のように見えるかもしれません。例えば、タトゥーやピアスを体中にしていたり、露出が多く大胆な服装をしていることも多いと思います。表現には個人差があると思うのですが、こういった外見の大胆さや極端なイメージチェンジというのはボーダーラインの女性の大きな特徴ではないかと私は思っています。(もちろんですが、派手な格好をしているからといって全ての女性がボーダーラインとは限りません。)

 

そして、当事者として、なぜそのような表現になるかと考えてみると、まず一つは自分の内面の自信のなさを外見によって覆い隠そうするのではないかと思います。自分の理想とする、本来の自分とは別の容姿になることで目に見える形で自己同一性が得られる。そしてもう一つは、周囲の人に自分の孤独や不安定さを目に見える形でわかってもらいたいという願望のあらわれがあると思います(ピアッシング、タトゥー、リストカットは特にこの理由が多いように思います)。

 

といっても、私自身は自傷行為に関してはほとんどの症状がなく、今挙げた内容もエイミーや周囲にいたボーダーライン気質の友人の言動から推測しているにすぎません。おそらくタトゥーやピアスにしても、それ自体をファッションとして楽しんでいる当事者のかたも多いのかなと思います。

 

少し話を戻しますと、こういったボーダーラインの女性たちにはいくつかの特徴があり、私はそれらを理解していることは、当事者としても、我々と関わる人たちにとっても大事だと思うのです。ボーダーラインに苦しむ女性の根幹には見捨てられ不安があるとされていて、この不安を解消するためのなりふりかまわない行動が症状の一つとされています(DSM‐Ⅳ‐TRの診断基準によるもの)。

 

なぜかボーダーライン気質の女性は友人もボーダーラインの女性が多いようで、私も彼女たちの破滅的な恋愛模様を複雑な気持ちで見てきました。そこで思うのは、やっぱり周囲のほうも、巻き込まれない冷静さを持つことが大事なのではないかと思うのです。というのも、ボーダーライン気質の女性に振り回されて傷ついてしまう男性(女性)は、彼女たちの破天荒で危なっかしい気質にどこか惹かれやすい性格を持っているように思えるからです。もしくは、最初から何かおかしいなと思いつつも、一時の好奇心で肉体関係を持ってしまう男性(女性)も案外多いように思います。そして、私たち当事者もそのような関係性で心身を傷つけることになるのだけれども、男性(女性)の側もリスクは大きくあると思うのです。

 

何故かわからないけど人間関係がうまくいかずに苦しんでいる方や、彼らとの関係で誰かを憎むことになってしまった人たちがいるとしたら、それは心の病気が関係しているのかもしれません。私自身も、対人関係がうまくいかない原因はおそらく自分側にある事は理解していたけれども、それをどう改善していけばいいのかわからず、もがき苦しむ日々が続いていました。しかし、ボーダーラインである事に気づいた時から、不思議と気が楽になりました。

 

エイミーワインハウスが実際にボーダーラインと診断されていたのか、またはその治療をしていたかどうかは定かではありません。しかし彼女の歌を聴いていると、どうしてエイミーはいなくなってしまったのか、もっと周囲の人間がどうにかすることはできなかったのかと思わずにはいられません。そして皮肉にも、彼女のその危うさが、彼女自身を傷つけ、逆に人々を魅了するパワーの源でもあったのかと思うと、複雑な気持ちになってしまいます。

 

ボーダーラインはあくまで精神疾患の一つでしかありませんが、関係性の病でもあると言われています。この病気を知ることで、対人関係に苦しむ人たちや彼らとの接し方に悩む人たちがすこしでも解決の糸口をみつけていけたらと思っています。

 

参考図書

○『自分でできる境界性パーソナリティー障害の治療 DSM‐Ⅳに沿った生活の知恵』

タミ・グリーン著 林直樹監訳・解題 

○『絆の病 境界性パーソナリティー障害の克服』

岡田尊司 咲セリ

○『よくわかる境界性パーソナリティー障害 不安定な自分を変えていく、治療とセルフケア』

 林直樹 監修

○『境界性パーソナリティー障害の人の気持ちがわかる本』            

 牛田定信

 

エイミーワインハウス関連サイト:

AMY WINEHOUSE FOUNDATION

http://www.amywinehousefoundation.org/

 

土曜日はサロンの日

昨年末から「メガネサロン」という小さなイベントを企画しています。メガネをかけて何かについて議論しましょうというもので、ちょうど昨日が二回目でした。

 

(あれ、何を書こうとしていたんだっけ…隣で母が某女優の顔が変わったとTVCMを見ながらいつものつまらないつぶやきをするので気を取られてしまった…)

 

会場は私の自宅近くのタイ料理屋さんにしました。参加者は5名。アートに興味がある方がたで、とても盛り上がりました。二次会は趣のある喫茶室で閉店まで会話を楽しみ、とてもいい雰囲気で幕を下ろしたように思います。みなさんありがとうございますー!またやりたいですね!

 

…とここで終わるのはあまりにもつまらないでしょう。

実は昨日の夜、私はある後悔と反省に襲われました。”ネタ”を用意していたことです。自宅近くということもあり土地感があるせいか、なぜか勝手にカラオケに行くと思い込んでいたのです。しかしサロンですから当たり前にみなさんお話がしたいのであって、その流れにはならないんですが(笑)。

ネタというのは最近発明した”名曲なんでもエイミーワインハウスにしちゃえ歌唱法”と、ハナモゲラ語(でたらめな日本語)なんですけども…。問題はそれを披露するしないよりも、サロンで自分が少しでも目立とう、ウケようと思っていたあさましさにゾッとしました。そして心を落ち着けて今日、『楽しいホームパーティー』という本を手に取っています。

ではまた。

 

 

 

本日ブログはじめました。

 

 かちかち山

日本昔話の『かちかち山』を知っていますか。最近絵本で読み直してみたのですが、その内容の残酷さに驚きました。たぬきがまるで妖気的殺人犯なんですよね。おばあさんへの悪行、さらにはその事実を知ったおじいさんを挑発させるような非道極まりない行為、そのすべてを楽しんでいるようにさえ見えるのです。単なる勧善懲悪の昔話と思っていたものが、一種のサイコサスペンスかホラー映画のように思えた瞬間でした。子供のころは何とも思わなかったのに、不思議です。ヒッチコックが実写化していたら名作になっていたでしょうか(笑)。

 

申し遅れました、たい焼きとポンジュースです。お笑いと芸術をテーマに日々感じたことを綴ってまいりたいと思います。どこかでだれかの楽しみになることを祈って…